弊社 LMS WebClass には、学生の学習履歴を可視化する「学習記録ビューア」という機能があります。学習記録ビューアを使い始めるために必要な権限設定、プラグインによる機能拡張もあり、ユーザーの方に使っていただくためにはドキュメントの充実が必須です。学習記録ビューア専用のマニュアルサイトを以前から公開していたのですが、先日プチリニューアル(内部的にはなかなか大きな更新)しました。その際、サイト構築にドキュメントサイトジェネレータ Antora を使用することになりました。Antora 使用事例として興味を持つ人もいるかなと思い、構築プロセスを公開します。
今回リニューアルしたマニュアルサイトはこちらです。
Antora とは
- Antora は、AsciiDoc からドキュメントサイトを生成するツール
- デモサイト
- Antora のドキュメントサイト 自体も Antora で生成されている
- 複数のリポジトリにコミットされている AsciiDoc から一つのサイトを生成できる
- Git ブランチやタグからドキュメントの「バージョン」を規定できる
- 例えば “v1”, “v2” のようなタグまたはブランチを作り、バージョン毎にドキュメントを管理する
- サイトにアクセスした人は見たいバージョンを切り替えることができるようになる
リニューアル前の状況
- マニュアル本文は全て AsciiDoc で書いている
- サイトの外殻は Pug で書いていた。Pug を HTML に変換する際、AsciiDoc を Asciidoctor (Asciidoctor.js) で HTML に変換し埋め込んでいた
- Asciidoctor PDF を使って、AsciiDoc を PDF に変換し、サイトからダウンロードできるようにしている
- 社内でセルフホストしている GitLab でバージョン管理
課題
- マニュアル本文は AsciiDoc を編集するので楽だが、ナビゲーションメニューを更新するために Pug を編集する必要があり、面倒くささは拭いきれなかった
- 検索機能がなかった
- 目次がページのタイトル下に表示されるが、下にスクロールすると見えなくなるので、文の多いページだと全体が俯瞰しづらかった
リニューアル後
構成
- マニュアルリポジトリには、複数ある製品のマニュアル AsciiDoc ファイルが全て登録されている
- マニュアルサイトリポジトリには、antora-playbook.yml という設定ファイルが登録されている
- antora-playbook.yml に AsciiDoc が登録されているリポジトリやバージョン情報を記述することで、Antora のコマンド一発でサイトが生成できるようになる
- CI/CD
- マニュアルリポジトリで AsciiDoc ファイルを変更しコミットする
- GitLab CI の Multi-project pipelines によりマニュアルサイトリポジトリのパイプラインが起動
- マニュアルサイトリポジトリのパイプライン内でサイト生成ジョブ実行
- サイト生成完了後、Manual Job でデプロイ可能となる
リニューアル前の課題は解決したか
- ナビゲーションメニュー等の高頻度で更新される部分は全て、 Antora の設定ファイル及び AsciiDoc を編集することで変更できるため、マニュアル更新が楽になった
- 検索機能を簡単に付けることができた
- ページをスクロールしても常に目次が表示されるようになった
多言語化
こちらを参考に、バージョン切り替えの仕組みを使って言語切り替えを実現しました。
antora-playbook.yml:
content:
sources:
- url: https://git.lan.datapacific.co.jp/webclass/manual-integrated-portfolio.git
start_paths:
- integrated-portfolio/admin/ja
- integrated-portfolio/admin/en
この方法だと、逆に通常のバージョン切り替えができなくなります。言語毎に別サイトを生成してもよかったかもしれません。
検索機能
antora-playbook.yml:
antora:
extensions:
- require: '@antora/lunr-extension'
languages: [ja]
まとめ
マニュアルサイトに必要な機能は全て揃い、マニュアル更新のハードルはかなり下がりました。これから一番大切なコンテンツ改善を進めていきます。